このサイトで小分けにして提示してきたマーケティングに関する考え方をまとめて書くと、こうなる。
マーケティングとは、金儲け作戦のこと。
マネジメントは作戦の実行のこと。
この2つは分けて考えた方が理解が早い。
マーケティングは常に研究されているので次々と新しい考え方が世に出てきている。
ただ、基本は「どうしたら永続的に儲けられるか」という問いに答えていると思っておけば良い。
この「永続的に」という考え方は広く捉えられていて、ここに重きを置くと一部の考え方はマネジメント領域に入ってくる。
例えば、企業理念や、自社のブランディング、果ては人間愛や道徳までマネジメントは言及していく。
マネジメントは突き詰めると哲学になる。
マーケティングは、どちらかといえば短期的な金儲けの再現性を高めることに重きを置く。
ここから詳細かつ具体的な内容に入る。
具体的には、マーケティングは、以下の9点を決めることだ。
①どんな用事を抱えている人を客にするのか
②解決策として何を提示できるのか
③どのように提示するか
④誰から儲けるのか
⑤何で儲けるのか
⑥どんなタイミングで儲けるのか
⑦どんな手順でやるのか
⑧手順の中で何が特意なのか
⑨誰と組むか
順番に説明していく。
①どんな用事を抱えている人を客にするのか
自分たちが提供する価値を認めてくれる人を決める。
価値とはものの見方のこと。
基本的には、価値とは
・楽しい
・気持ちいい
・役に立つ
の3点だ。
ただ、問題意識が変われば「ものの見方」も変わるとともに、価値も変わる。
商品企画において絶対なものとしての「問題」は存在せず、「問題意識」だけがある。
問題とは幸せの定義と現状とのギャップのことだ。
だから、問題意識は個人の人生の引き出しから生じる。
では、現代における価値とは、「ものの見方」は何か。
現代においては、体験こそが価値である。何を体験させてくれるのかを消費者は見ている。
顧客が喜ぶ体験は以下のようなものだ。
・大切にされている
・力を与えられる
・確信がある
・正しい情報が入る
・信頼されている
・夢中になっている
・仲間である
・尊敬されている
・くつろいでいる
・楽しい
さて、自分たちが提供する価値を認めてくれる人を決めるにあたっては、用事を抱えている人の全体像をつかんでから、詳細を具体的に決めていく。
全体像をつかむためには有名なフレームワークを使うと理解が早い。
使うのはPEST分析。
PESTとは、政治的(P=political)、経済的(E=economic)、社会的(S=social)、技術的 (T=tchnological)の頭文字を取った造語。
この4つの視点で外部環境に潜む、自社に影響を与える要因を書き出し、評価する。
詳細を考える際には、その人が価値を感じる瞬間、体験する瞬間はいつかを考える。
その時には、具体的な顧客像まで作りこむと良い。その要件は、
名前
住所
年齢
職業
年収
住居
家族
価値感
趣味
ライフスタイル
大事なことは、顧客の本音。うわべだけのヒアリングやアンケートでは分からない。
顧客の気づいてない本音、言いたくない本音を見つける。
例えば、世界初の量産車を作ったヘンリー・フォードは、
「普通に皆に何が欲しいか聞いたら「もっと速い馬が欲しい」と答えただろう。顧客は速く移動できるものが欲しいだけだ」
と言った。
具体的に顧客に聞くべきことは、10の質問。
1. 普段、どんな時にそれを使いますか
2. どんな人といっしょにそれを使いますか
3. どんな所でそれを使いますか
4. 実は、こんな瞬間にもそれを使っている、という時とは?
5. それを使って嬉しかったのはどんな時ですか
6. それを使うとはずかしいのはどんな時ですか?
7. 意外な人がそれを使っていてびっくりした体験とは?
8. それを使ってイラッとした体験とは?
9. こだわりのそれの使い方とは?
この答えのなかに、顧客の本音は存在する。
②解決策として何を提示できるのか
自社は①の人に対して何をするのかを決める。
答え方は単純で、次のAとBをそれぞれ掛け合わせれば良い。
【A】相手が
・やりたくないこと
・やりきれないこと
・やれないこと
【B】自分(自社)が
・肩代わりする
・サポートする
この時のポイントは、独自性があること。
独自性のある解決策でなければ競合会社との競争になり、儲けは減少していく。
競争に勝つ方法はたくさんあるが、結局は資本力のある会社が高い確率で勝つ。できるだけ競争は避けるべきだ。
また、模倣されにくいものでなければ独自性を保てない。
何が競合かを意識しながら独自性のある解決策を考える。
簡単な方法は、今ある解決策(機能)から除去や増加や減少をさせて独自性を出すこと。
ただ、増加は誰もが考える独自性の出し方なので、コストも掛かり激しい競争に巻き込まれる。
競争が生じにくい独自性の出し方としては、創造がある。
創造はゼロから生み出す、発見することであり、簡単にできることではない。
そこでよく行われるのは組み合わせである。既存の技術同士の組み合わせによる創造は比較的容易である。
ただ、容易であるが故に他社に模倣され、すぐに陳腐化していく。
模倣されにくい組み合わせとは何か。
それは組み合わせで不合理を作り出すことだ。
他社が模倣したくないと思える組み合わせは、長期間独自性を維持する。
理外の理という言葉がある。一見して論理性のない組み合わせであっても、自分たちから見れば完璧な論理性を有していること。
これを見つけるべきだ。
例えば、Amazonは当時のネット通販業界の常識「在庫を持たない」を否定して、巨大な倉庫を買い、あらゆる商品を準備した。
ネット通販 × 膨大な在庫
という当時の業界から見たら不合理な組み合わせで独自性を出した。
当時のライバルたちはこれを模倣しなかった。模倣する理由がなかったからだ。
しかし、Amazonはこれにより「すぐに商品を受け取りたいネット通販利用者」を救った。理外の理である。
不合理性は増加・除去・減少による独自性発揮にも有効に機能する考え方である。
これを考えるときのポイントは2つある、1つ目は常識を否定すること。
当たり前を否定する。
具体的な考え方は、
1.逆から考える
2.業界最下位ならどうするか
3.両極端に振って考える
例えば、理髪店業界に革命を起こした1,000円カットのQBハウス。
QBハウスは理髪店では髭剃りやシャンプーをするのは当たり前、としていた常識を否定し、超低価格・超短時間サービスを実現した。
2つ目は、現状を新しい構造で説明することだ。
・新しい共通性
・新しい関係性
・新しいグルーピング
・新しいルール
「これって○○○と同じだよな」と思えるものはないか、ということ。
具体的な考え方は、
1.現場目線で考える
2.時間軸を変えて考える
3.日常生活から考える
4.自然現象に当てはめて考える
5.アナロジーから考える
例えば、自動車メーカであり、数千万円する高級スポーツカーを販売するフェラーリは、競合相手を美術品や宝石であるとしている。
フェラーリは移動手段を提供しているのではなく、手に入りにくく、収集したくなるものを提供している。
フェラーリが想定している市場は自動車市場ではなく、富裕層向け嗜好品市場ということだ。
新しい構造を見つけるときにフレームワークを使うなら、5F(5フォース)を使う。
1.既存競合者同士の敵対関係
2.新規参入の脅威
3.代替製品・代替サービスの脅威
4.買い手の交渉力
5.供給者の支配
という5つの力を書き出しながら、新しい構造が隠れていないか考える。
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ここまでを自分ごととして落とし込みながら読んでいる人なら感じていると思うが、独自性の追求は不安との闘いになる。
前例がないのだから、正解なのかもわからない不安。
しかし、この闘いに勝てなければ未来はない。
その際の心得はシンプルで、
・恐怖を克服せよ
・柔軟であり続けよ
・正の期待値を持つ筋の通ったリスクを取れ
・積極的に現実を求めよ
・結果ではなく決断に集中せよ
・失敗の兆候を探し続けよ
これらを意識しながら、独自性のある解決策を考えていく。
・恐怖を克服せよ
恐怖の克服法として具体的な考え方は、
・すべては試作品だ
・調整など考えるな
・分かっていなくても分かっていると思って行動しろ
・先延ばしするくらいのアイデアなら捨てろ
・完璧さを求めるな
である。
・柔軟であり続けよ
意固地ではいけない。環境は常に変化すると心得る。自分が完全に正しいとは限らない。
・正の期待値を持つ筋の通ったリスクを取れ
筋が通っているということは、理があるということ。
また、許容できる範囲のリスクを取らなければ事業が破たんしてしまう。
世界初の飛行機を作ったライト兄弟、彼らの最大の成功要因は、失敗しても死なない実験場所を手に入れたことである。
・積極的に現実を求めよ
顧客や潜在顧客に積極的にコンタクトして情報を得る。
聞き方のポイントは自分が考えた解決策が「いいか、悪いか」ではなく、「お金を出しても欲しいか、欲しくないか」
・結果ではなく決断に集中せよ
結果に失敗はつきものである。適切なタイミングで最善の決断をしたかどうかを評価せよ。
・失敗の兆候を探し続けよ
独自性はいつか崩れる。永続性はない。
失敗の兆候を見逃したり軽視すれば、事業の死が待っている。
なお、独自性を追っていくと、自然と「どんな用事を抱えている人を客にするのか」という①が変化していく。
つまり、①と②は表裏一体の関係である。
また、②で導き出した解決策で①の人たち全てを取り込むことを目指す。
小さい市場で圧倒的シェアを取ることが、事業の足掛かりとなる。
③どのように提示するか
2つのことについて考えなければならない。
・商品の提供方法
・商品の周知方法
・商品の提供方法
店舗を構えるのか、通販するのか、委託販売するのか、訪問販売するのか、人を派遣するのか、情報を郵送するのか、それとも電子メールでか、セミナーを開催するのか。
特に、顧客に「買う」という最も抵抗感のある行動をしてもらうためにはいくつも技術がある。
具体的には、商品を買うと決めた瞬間の感情を理解して提供方法を決める。
以下に顧客の感情を動かすための心得を列挙する。
多くの人は決断してから理由を探す。
感情重視の人は買いやすい。
せっかくだから、そこまで言うならと言わせたら買ってもらえる。
客に時間と労力を使わせるほど、上記言葉が出やすい。
人は好きな人の喜ぶ顔が見たいと思う。だから顧客とは親しくなるべき。
自己開示して既知となる。
買うと決めた客はオプションも買いやすくなる。
「何を買うか決めるのはお客自身」と言う人は客に無関心でNG。
「迷ったら~で間違いなし!」が鉄板フレーズ。
「知り合いがこんなことを言ってた~」も良フレーズ。
柤談されたらフレーミングして範囲を絞ってやる。
言い切り口調で、たとえ2択であっても優先順位をつける。
高い安いの話にしない。ポイントは金額以上の価値があるのかどうか。
値引きはせずにオプションを無料で付けてお得感を出す。
「まだ買うか分からない」「まだ決めていない」は買う気のあるサイン。
相手が抱えている問題点を「~じゃないですか?」と聞くことで相手に自覚させる。
適度に相手にサインや捺印させて後戻りさせないようにする。
見積書と注文書はセットにして出すと決まりやすい。
購入した客には後でその商品が好評であることを伝え、決断の正しさを実感させる。
既存商品の紹介ページにはお客様の声を入れる。
手土産は事務所用と社長の自宅用の2つ持っていく。
やることリストではなく、喜んでもらうリストにしてやる気を高める。
・商品の周知方法
顧客を取り込む為のリソースは、顧客の関心をとらえる為に投入すべきだ。
小さい市場をターゲットにする場合には、口コミによる広報を避けては通れないだろう。
口コミを意識するならば、伝え方や伝える内容はシンプルだ。
・驚きがある
・未来のありたい自分になれる
驚きがなければ口コミの材料にはならない。口コミは世間話の延長から始まる。SNSを使う場合はなおさらだ。驚きの感情がシェアする動機づけとなる。
②で理外の理がある独自性を見つけているならば、世間を驚かすことは容易だろう。
また、価格で驚かせるなら世間が考える価格の30% offが必要だ。
価格を半額にすると、売り上げは5倍になるという研究結果もある。
未来のありたい自分は、小さい市場を狙うなら簡単に具体化できる。
この具体化が口コミや知り合いの紹介をしやすくする。
例えば、ダイエット方法。この手の話はあっという間に拡散する。痩せて美しい体形になった自分こそが、未来のありたい姿だ。
小さい市場である場合、有名な広告媒体は有効に機能しない。
最近は、普段からターゲット市場の人から注目されている状態を作ることが求められている。
一言でいえば、自分たちのファンを作ることだ。
SNSを成功させるコツは、
1.いま既にいるファンないしユーザーの1% に集中しろ
2.自分の信念を示せ
3.コミュニティを形成せよ
4.ファンに名前をつけよ
5.体験を共有せよ
6.ファンのファンになれ
7.話題をふりまけ
④誰から儲けるのか
お金を払ってくれるのは価値の提供を受ける人とは限らない。
例えば、子どものおもちゃをもらって喜ぶのは子供だが、お金を出すのは親である。
任天堂のWiiは、大きいおもちゃは場所を取るから嫌だという母親の声を反映して小さい本体にした。
googleは検索する人からは儲けず、検索結果の横に表示させる広告代を企業からもらって儲けている。
また、企業向け研修を受講してメリットを感じるのは受講者だが、お金を払っているのは社長や、教育担当者だ。
彼らの満足度が高まらなければ、研修企画は成立しない。
⑤何で儲けるのか
物を販売して儲けるのか、レンタルして儲けるのか、サービスで儲けるのか、人を派遣して儲けるのか。
最近は、基本的なものやサービスの提供は限りなく安価に、もしくは無料で行って広い顧客層を形成し、一部の熱烈なユーザーから繰り返し儲けるモデルが流行している。
例えば、家庭用プリンタは本体ではなく、インク代で儲けている。
家庭用ゲーム機も、本体ではなく、ゲームソフト代で儲けている。
スマホゲームは、普通に遊ぶ分には無料だが、ゲームを効率的にプレイするアイテム代で儲けている。
Skypeは、Skype同士の会話は無料だが、一般電話との通話で儲けている。
家庭用ウォーターサーバーは、サーバー代はほとんど無料だが、水は有料だ。
⑥どんなタイミングで儲けるのか
儲けるタイミングも多様だ。
例えば本屋に卸す本は、本屋に置くだけでは儲けられず、売れた分だけ儲ける仕組みだ。
英会話教室などは受講クーポンを前払いしてもらって儲けている。
マクドナルドは、自分たちの事業を不動産業と位置付けている。客単価の低いファストフード店が売上高を増やすためには、多くの客が集まる立地が重要だ。好立地をどれだけ安く手に入れられるかどうかで儲けが決まる。
⑦どんな手順でやるのか
③~⑥以外にも、モノやサービスといった価値を届けるモノを創る作業が必要だ。
モノやサービスを創ることとは結局、
1.作る
2.買って組み込む
の2つだ。
この作業を含めて、価値を顧客に届けるまでの流れを作る。それをサプライチェーンマネジメント(SCM)と呼んだりする。
⑧手順の中で何が特意なのか
どの手順を自社でやるのかを決める。
自社は、得意なこと、独自性があることだけをするべきだ。
ただし、事業が軌道に乗ったら、得意なことの前後にある手順も自社に取り込んでいった方が儲けが増えるので、状況に応じて変わっていくものだ。
⑨誰と組むか
⑧で自分がやらないと決めた作業をやってもらう相手を選ぶ。
例えば、Amazonは宅配業者と手を組んでるからこそ成り立つ事業である。
ヤッホーブリューイングは、大量生産を求められる商品はキリンビールに生産委託した。キリンビールは逆にマーケティングノウハウの提供を受けている。
このように、Win-Winの関係であるほど長期的に友好的な関係が構築できる。
具体的には、共通の利益を見つけることだ。
+相手が自分たちの活動を気に掛ける理由を意識する
+相手は自分たちに何を求めているのかを意識する
+どうすればその要求に応えられるか考える
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以上述べてきたように、マーケティングは、以下を決めることだ。
①どんな用事を抱えている人を客にするのか
②解決策として何を提示できるのか
③どのように提示するか
④誰から儲けるのか
⑤何で儲けるのか
⑥どんなタイミングで儲けるのか
⑦どんな手順でやるのか
⑧手順の中で何が特意なのか
⑨誰と組むか
上記を書き出した最後に「さぁ、始めましょう」と書いてみて、自分の心が奮い立つか。
奮い立つなら、良いものができている証拠だ。